人と関わるのが好き、でも少し周りの目を気にしてしまう部分もあって、相手がどう思っているかと、子どものころから考える方だったと話す植木さん。それは、ご自身が4人兄弟の真ん中で育った経験からかもしれないと理由を明かしてくれました。仕事やプライベートで役に立つコミュニケーションのコツをたっぷりご紹介します。
【お話を伺った人】
『ノバレーゼ』エリアマネージャー
植木カレンさん
ブライダル大手「(株)ノバレーゼ」に入社。
営業本部に配属、新郎・新婦の結婚式当日の衣裳選び、スタイリングを主に行う、ドレスコーディネーターとして勤務した後、同職の“エキスパート”に就任。
現在は、複数の店舗を統括するエリアマネージャーをしながら、引き続きドレスコーディネーターとしても活躍。
Q.コミュニケーションの取り方はどうやって学んだのですか?
植木さん:「それは子どものころ、家のことを手伝って母親の喜ぶ顔を見たり、そのリアクションを楽しみながら過ごしてきて、そこが今、生きていると感じています。
ブライダルという業界に就職した際、まさに一生に一度のドレス選びなど、花嫁さまの初めての感情に対応すべく、まずは自分が広い心で受け止めることも心がけています」
筆者:「ブライダルに関わるようになって、本格的にコミュニケーションのことを勉強というか、深く関わり始めたのでしょうか?」
植木さん:「そうですね。今までは家族や友人に対してだけだったのが、お仕事でお客さまと話す機会が増えたことによって、ますます鍛えられました。ブライダルの場合は、花嫁さまだけでなく、ご新郎さまやお母さま、ご家族の中に入らせていただくので、しっかりコミュニケーションを取って、まずはどう思っているかを伺い、ご提案をするというやり取りになりますね」
Q.初対面の相手でも緊張をしないコツは?
植木さん:「相手も初対面で、絶対緊張していると考えれば、お互い同じ状況ですよね。話す前から、自分で相手のことを決めつけないというのが大事です。これから自分と関わる中で、その方のいいところや個性を引き出せたらいいなぁと、ワクワクしながら探ることですね。まずは、お互いに緊張をしているけれど、バリアをなくして相手の良いところを引き出したいという気持ちで、コミュニケーションを図っていきます。その方の観察をして、どんな人だろうと興味を持つことで、会話は広がります」
筆者:「いろいろなお客さまがいらっしゃいますよね」
植木さん:「そうですね、最初は当たり障りのない会話から始めて、その方を観察してどんなものがお好きなのかとか、考えて接すると話しやすいなと感じてくれると思います。初対面の人との話題を模索しながら距離を詰めていくその期間も、楽しんで構築していければ良いですね。すると自然体でお話ができると思います」
筆者:「仲良くしなきゃいけない、と必死になると空回りしちゃいますよね」
植木さん:「どんな人だろうかと、知ってもらうより知る方に集中すると結果うまくいきます。自分勝手に話す人と思われてしまうと、挽回することが大変なので、まずは相手を知ろうとすることですね。そこから、興味がある会話になってくると、共感できるようになりますから」
Q.うまく共感できるコツは?
植木さん:「最初の空気作りが肝心です。緊張しない雰囲気作りをして、こちらが相手のことを知りたいという気持ちで一歩リードをして会話を楽しむと良いと思います。例えば、天気のことで、「雨イヤだよね」と言われて、「イヤだね」という返事をするのは簡単だと思うんですけど、「服装や靴を選ばなきゃいけないから、面倒くさいよね」と自分のエピソードで返すことで会話が繋がります。そうそう!と、共感できると思います。
花嫁さんが、「ダイエットが大変だ」と言ってきたら、共感するエピソードを返事するだけでその後の解決策も話し合うことができますし、単なる相槌だけでは得られないお客さまの本音が聞き出せて、ドレスの満足度にも繋がるんです。自分がちゃんと、話を丁寧に受け取って相手のために考えて答えると、共感や信頼が得られます」
筆者:「そうするとまた、会話が深いところまで話せるようになりますよね」
植木さん:「はい、会話が終わるのが1番気まずくて、トイレに立つしかなくなります。何となく、感覚が自分と近いかもと、相手に思ってもらえるように心がけます」
筆者:「コツとしては、日々いろんな話題の引き出しを持っておいた方がいいですね!」
植木さん:「そうなんです!もう毎日、テレビをたくさん見ています。バラエティやニュース、歌番組や映画など、会話のきっかけになるかもしれないので、知ったかぶりをせずに済む程度まで見て内容を把握しておきます。同じものを見ていれば共感できますし、違っても正直に、間違えましたと謝れば、とても正直に言ってくれる人だと共感を得られます」
Q.怒っている相手と接するコツは?
植木さん:「なんで怒っているのかを把握する必要がありますね。怒っている人もとにかく観察をして、何に怒っているのか、怒る対象がすり替わっていることもありますし、心から謝罪をしたいからこそ、丁寧に聞きます。
それも、相手を知るという気持ちでヒアリングをしてから、対策を考えます」
筆者:「ここは、冷静でいることが大事ですね」
植木さん:「そうですね、どうしよう、となると本当の原因が見えなくなってしまうので。相手にこちらの気持ちが届いてこそが、コミュニケーションだと思うので、もし伝わってないのなら、自分のやり方を変えるしかない。相手に変わってもらうより早いと思います」
Q.ネガティブな内容を角を立てずに伝えるコツは?
植木さん:「ご希望のドレスがご予約でいっぱいだというお話など、物理的な希望が叶えられないというものもあれば、スタッフに対しての指導、その子が向き合わなければいけない課題を伝える時ですね。
ネガティブな話をする時は必ず、最後にはポジティブな話で終わるように気をつけています。「埋まっちゃいましたすみません」これだけでは、誠意が足りないと思うので、埋まったという事実は伝えたうえで、別のこういうご提案ができるという案を添えてお話をすることを心がけています。ぜひ機会を与えていただけないですか?と、ネガティブな内容でも、最後にはポジティブにするまでが前提です」
筆者:「なるほど。それは、別の提案を考えてからお話をする感じですかね」
植木さん:「はい、ただ言うだけでは、分かりました、じゃあどうしてくれるの?と言われた時に対応ができず、何も考えていないのね!となってしまうので。あとは、自分だったらという気持ちになることも大事です。常にお客さまの目線は忘れないですし、自分もスーパーや美容院などで顧客側になることがありますが、こんな対応はイヤだなと感じることで、もっと良いサービスや行動が、先回ってできるように気をつけています」
筆者:「普段の生活の中で、お友達や仕事の相手に活用できる事が多いなと感じました。でも、すぐにポジティブ思考にするのって大変ですよね」
植木さん:「どんなシチュエーションでも“イヤな気持ちになった”、で終わらずに、私なら、もしその次同じことがあったら、絶対にこうした方がいいという、自分なりの解決策を常に頭に描いています。トレーニングですね、そういう意味では、相手の立場に立ってみるとか、周りを気にする性格だからこそなのかもしれません」
筆者:「ありがとうございました!」
《取材後記》
コミュニケーションは、会話のコツをおさえるだけで簡単に能力アップします!他人の目を気にするというより、相手が何をして欲しいのか、どんな趣味があるのかなど、相手のことを知りたいと思う気持ちが、コミュニケーション能力を向上させるのだと感じました。
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