急な汗やのぼせに悩まされる「ホットフラッシュ」。日常生活に支障をきたしていても、病院に行くほどなのかな?女性ホルモン補充療法は少し怖い……と躊躇している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療法人平治会 SALAレディースクリニック院長の桝田 充彦(ますだ みつひこ)先生に、ホットフラッシュの根本的な治療法である女性ホルモン補充療法(HRT)の安全性から、受診のタイミング、治療ができない場合の代替ケアまで、読者の疑問に答えていただきました。
【お話を伺った人】
医療法人平治会 SALAレディースクリニック
院長 桝田 充彦(ますだ みつひこ)先生
「SALA」とはスペイン語で「居心地の良い空間(=英語のSALON)」。大阪・阿倍野区で開業して10年以上、産科・婦人科の診療にあたる。親切で丁寧な医療を目指し、地域のかかりつけ医として活躍中。
【SALAレディースクリニック】
https://www.sala-lc.com/

《女性ホルモン補充療法(HRT)について聞いてみた》
Q1.女性ホルモン補充療法(HRT)は安全性?ホットフラッシュ以外に期待できる変化は?
女性ホルモン補充療法(以下:HRT)に恐怖感や抵抗感を持つ方も多いですが、実際の安全性や、治療によってホットフラッシュ以外(肌のハリ・睡眠・気分の落ち込みなど)に期待できるうれしい変化について教えてください。
【女性ホルモン補充療法(HRT / Hormone Replacement Therapy)とは】
閉経前後にかけて減少し、心身の不調を引き起こすエストロゲン(女性ホルモン)を補う治療法のこと。

桝田先生:「HRTを開始する前には、血圧・体重測定のほか、血液検査、婦人科がん検診、乳がん検診を行います。治療中も定期的な問診とあわせて、これらの検査を年に1〜2回実施します。さらに治療終了後も、5年間は1〜2年ごとに婦人科がん・乳がん検診を行います。
これらは「ホルモン補充療法ガイドライン」に定められている手順であり、適切に管理・運用されることで安全性がしっかりと担保されています。
効果面では、ホットフラッシュが劇的に改善する方が多いのが特徴です。
そのほかにも、以下のような幅広い症状の改善や健康維持効果が認められています」
【お悩みの改善】
寝汗、不眠・睡眠障害、膣の乾燥感、性機能障害、頻尿、記憶力の低下、関節痛・四肢(手足)の痛み
【健康維持・予防効果】
骨密度の増加、悪玉コレステロールの低下、血糖値の低下、アルツハイマー病の発症予防

Q2. HRTが行えない場合の第2選択肢の選び方とは?
HRTが行えない場合の第2の選択、例えば漢方、大豆イソフラボン、プラセンタなど、どのように選べばよいでしょうか? 特にプラセンタは、クリニックでの注射と、市販のサプリで期待できる効果に違いがありますか?

桝田先生:「漢方薬、大豆イソフラボン、プラセンタはそれぞれ体への作用の仕組み(作用機序)が異なります。そのため、まずは1種類ずつ試してみて、効果が実感できなければ併用を検討するのがよいでしょう。
なお、クリニックで行うプラセンタ注射は特定生物由来製品に分類されます。注射を受けた場合、理論上未知のウイルス感染リスクを完全に否定できないため、献血や臓器提供に制限がかかります。
一方、飲むタイプのプラセンタは胃酸を通過する工程を経るため、このような制限はありません。安全性を優先して考えるならば、個人的には飲むプラセンタを選択することをオススメします」
【特定生物由来製品とは】
人などの生物(血液や組織など)に由来する原料から作られる医薬品のこと。有効性が高い反面、感染症に対する安全管理が厳重に行われています。

Q3. 婦人科を受診すべきタイミングの目安は?
これくらいの症状で婦人科に行っていいのかな?と迷う読者の方も多いです。市販のサプリなどで様子を見てよい段階と、病院を受診すべき明確なタイミングや目安を教えてください。

桝田先生:「”これくらい”と思わず、基本的にはお気軽に婦人科を受診していただくことをオススメします。受診することで、婦人科がん検診を受けるきっかけになりますし、万が一別の病気が見つかった場合でも早期治療につなげられることが最大のメリットです。HRTを上手に行えば、日常生活の質は劇的に改善します。
市販サプリメントを否定するわけではありませんが、まずは1度クリニックでご相談いただくのが1番の近道です」
Q4. 外出先で急に症状が出たときの対処法
仕事中や外出先で急にホットフラッシュが起きてしまったとき、その場で症状を和らげるための具体的な応急処置やコツはありますか?

桝田先生:「残念ながら、その場ですぐに症状を鎮めるような即効性のある応急処置は特にありません。ホットフラッシュは自律神経やホルモンバランスの乱れが根本にあるため、一時的な対策ではなく、医療機関での根本的な治療を行うことが改善への確実な方法となります」
Q5. 効果を実感するまでの期間と、治療の卒業(終了)について
治療を始めた場合、どのくらいで効果を実感できることが多いですか?また、治療は最終的にどのように卒業・終了していくものなのでしょうか?

桝田先生:「早い方では治療開始から1週間程度で効果を実感されます。お時間がかかる方でも、1か月以内には何らかの良い変化を感じられることがほとんどです。
また、治療の終了時期について「〇歳まで」「〇年間まで」といった一律の制限はガイドライン上存在しません。的確に検診を受け、健康管理を行いながら継続することは、年齢を重ねても大きなメリットがあります。
私事ですが、自身の母にも75歳までHRTを継続しました。本人も健康で快適な毎日を維持できていることにとても満足しておりました。婦人科専門医が主治医として適切に行うHRTは、閉経後女性の日常生活の質を維持・向上させるために非常に有効な選択肢だと考えています。
《まずは相談を!》
ホットフラッシュをはじめとする更年期の不調は、我慢するものでも「年齢のせい」と諦めるものでもありません。
今回の桝田先生のお話にあるように、女性ホルモン補充療法(HRT)は適切な検査と管理のもとで行えば安全性が高く、つらい症状の改善だけでなく、将来の健康管理や美しさの維持にも大きな力となってくれます。また、HRT以外の選択肢や飲むプラセンタなど、ご自身の体調やライフスタイルに合わせた解決策は必ず見つかります。
「病院に行くほどではないかも」と思っている方こそ、ぜひ1度お近くの婦人科で相談してみてはいかがでしょうか。自分らしく心地よい毎日を取り戻す第一歩になりますように。
※このコラムは健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は、専門の医療機関にご相談ください。
※コンテンツ内の全てのイラスト・画像・文章の転用はご遠慮ください。許可のない転載・複製・転用等は法律で罰せられます。
Not sponsored.