「理想的な睡眠時間は8時間」「22時~深夜2時がゴールデンタイム」と言われていた睡眠の常識は、今や都市伝説!?今回も、睡眠改善インストラクターの資格を持つ“眠りの専門家”に、最新の睡眠事情を教えていただきました。
merrilyメンバーのみ閲覧可能な部分では「道具不要!今すぐできる睡眠の質アップのための裏技」をお聞きしています!
【お話を伺った人】
睡眠改善インストラクター
友部崇さん
着るだけで疲労回復や安眠を促すリカバリーウエア(疲労回復ウエア)を販売するメーカーに所属。商品開発にも携わり、素材や縫製に関しての知識も豊富に有するスペシャリスト。
【HP】
https://liflance.jp/
Q.若いころに比べて、深い眠りが少なくなったような… 年齢と睡眠は関係するのでしょうか?
友部さん:「はい、年齢と睡眠は関係しています。若い頃は何時間でもぐっすり眠れたのに、今はちょっとした物音や光などで起きてしまう…と、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その原因の1つとして、加齢により<睡眠構造が変化する>ことが挙げられます。
脳の休息時間と言われる「ノンレム睡眠」は、その深さにより4段階(ステージ1~4)に分けられていますが、40歳を過ぎると深いレベル(ノンレム睡眠3・4)の出現量が急激に減少。
さらに、60歳を過ぎる頃から、夜中に起きる中途覚醒や、浅い睡眠(ノンレム睡眠1)の時間が増えて、睡眠の持続や安定性が低下します。その結果、ちょっとした物音でも起きてしまうんです」
Q.寝だめができないとなると気になるのが慢性的な睡眠不足。やはり放っておかない方が良いのでしょうか?
友部さん:「睡眠不足は借金のように積み重なり、やがて“負債”に。放っておくと、身体や脳神経の機能に影響を及ぼす可能性があります。
免疫系機能が低下すると、風邪や花粉症の発症リスクが増大。さらに、身体修復や、脂肪分解、抗酸化作用に関わる成長ホルモンの分泌も減少します。
脳神経系への影響としては、認知機能の低下が挙げられます。判断力が鈍るだけではなく、自己評価や他人の感情を読み取るといったコミュニケーションの部分にも作用してくるので、人間関係に影響が及ぶこともあります」
筆者:「寝不足が続いて判断力が低下するのは経験がありますが、花粉症の発症やコミュニケーションにも影響があるとは!!睡眠負債を溜めないように、日々充分な睡眠を取ることが大切ですね」
Q.どのくらい寝たら十分な睡眠が取れていると言えるのでしょうか?理想的な睡眠時間を教えてください!
友部さん:「昔は、理想的な睡眠時間は8時間。22時~深夜2時がゴールデンタイムなどと言われていましたが、実はこれ、科学的な根拠はないんです!
最近では、理想的な睡眠時間は年齢によって異なり、18〜64歳では7〜9時間、65歳以上では7〜8時間と言われています。また、日本人10万人以上を対象にした調査では、健康維持にとって最適な睡眠時間は7時間であるとも推定されています」
筆者:「短くても、寝すぎてもダメということですね」
友部さん:「そうですね。〇歳なら〇時間というのは、あくまで目安で、一番重要なのは<自分にとって理想的な睡眠時間を探す>ということです。困ったことに、眠気は慣れてしまうので、慢性的に睡眠時間が短い人は、睡眠不足を自覚することが難しいんです。実際に、睡眠時間が6時間未満の方の3割程度は、「特に困っていない」と答えている調査結果もあります」
筆者:「身体の悲鳴に気が付かないのは怖いですね!!」
友部さん:「4時間睡眠が1週間、あるいは6時間睡眠が10日続くと、一晩徹夜したのと同程度までパフォーマンスが下がることがわかっています。溜まった負債を返そうと、休日の睡眠時間を長くすると、生活リズムの乱れに繋がるので、できるだけ眠る時間と起きる時間は一定にしましょう。
翌日の日中の眠気や頭の冴え、体調が良いかどうか、日中しっかり覚醒して過ごせるかを、適正な睡眠時間が取れたかの指標にして、自分に適した睡眠時間を見つけてみてください」