Interview

【インタビュー】『ラテアートとの出会いとシンプル思考』株式会社スウェル・シー 代表取締役 尾﨑数磨氏に聞いてみた!

中目黒駅から徒歩約5分ほどの静かな場所に、今年オープンしたばかりのカフェ『SWELL COFFEE ROASTERS(スウェル コーヒー ロースターズ)』。
オシャレでゆとりのある空間が広がるこちらには、ついつい長居してしまう美味しいコーヒーと心躍るラテアートが待っています。そんな、リラックスとワクワクとを与えてくれるカフェを経営する株式会社スウェル・シー 代表取締役の尾﨑数磨さんに、お話を伺ってみました!

Q.ラテアートを始めたきっかけは好奇心!始めたら慎重派に

﨑さん:「ホテルマンとして10年以上勤務していました。日本ホテル・レストランサービスの資格を取って、フランス料理のサービスやバーテンダーをしていたのですが、コーヒーの資格(コーヒーマイスター)もあって、おもしろいなと思い取得したのがきっかけです。
じゃあ何をやろうかなと、近くのコーヒー屋さんに行ったときに初めてラテアートに出会って「自分もやってみたい!」と思い、こんなことできるんだと知ったのがきっかけですね。

実は誰でもできると思うんです、実際。(筆者:えーーーー?)
周りの人たちから、僕は不器用で才能ないからやめろと言われていたんです。でも逆に、器用な人は簡単にできちゃう、そうすると次にできなかったとき、何でできていないかがわからないので、壁にぶち当たって悩むことになるんです。僕にはそれはない。
なぜなら不器用だからこそ、常に最良の環境を考えていて……本当に不器用なんです(笑)
とりあえず、何やっても最初はうまくいかなくて。何でもなんとなくできちゃう人いるじゃないですか、何気なくできちゃうと修正できなくなって、失敗が見えずということに。
それが嫌なので、今回は明らかに「これがダメだった」ということが文章で説明できるように一個一個チェックしています。そのリストによって、他の誰でも再現、説明ができるので講義のときも活躍する資料になるんです。

コーヒーセミナーなどで講義するときにも、「誰でもできるよ」というと「え~」と言われるんですけど、わかりやすく言うと、例えば外国人に箸を持たせて箸を使ってご飯を食べてと言ってもわかりませんよね。使い方を教えてもすぐには使えなかったりします。まったく同じでどうしてこうなっているか、原理を理解して毎日箸を使えばできるようになる、それと同じです(笑)。ラテアートの動作って生きる上でまったく必要ないのですが、慣れれば簡単です。」

Q.尾﨑さんのつくるラテアートはとってもきれいでやっぱりセンスの問題?

筆者:「原理がわかっていてもセンスが必要なのでは?」
﨑さん:「僕、センスもなかったんです……12年くらいホテルマンをしてからの転身だったので、そのころからラテアートをしている人と、同じようにやっていてもダメですよね。どうやって差を埋めるかは、環境や練習方法を普通にやっても追いつけないので、やり方を考えてここまでやってきました。
最初は、お風呂でも練習していましたよ。お風呂にピッチャーを持っていき、イメトレをしていました。もちろん中身はなしで、ですよ。自分のリラックスできる時間に、いいイメージでラテアートの流れをつかんで実践していきます。

約12年違うことをやってきた引け目があるので、いかに埋めるか、それを考えていました。
でも、気分が乗らない日は練習を休みます。体育会系の、「やれるまでやる!追い込んで、できるまで帰らない!」みたいなことではなくて潔くやめるのも手かなと。
”嫌なことをしている”ということを刷り込まずに済んで、気分がいい時の吸収率にも影響していると思います。
楽しみながらうまくいったらそれが一番いいですよね!
まずは自分の状態に目を向けて、ラテアートの練習をするようにしています。」

Q.ラテアートに向いている豆ってあるの?

﨑さん:「豆の種類というよりは焙煎方法ですね。深煎りのほうがコーヒーは濃い色になるので、ミルクの白が映えてラテアートがしやすいです。そしてカップのフチに泡があるということは、焙煎したてで新鮮ということ。SWELL COFFEE ROASTERSでは、豆の回転が速すぎる(すぐ使う)から、泡が出てラテアートが難しいんです。本当なら1週間とかエイジング(寝かす)してからのほうが、落ち着いていいのですが。
エイジングをかけてベストな味のタイミングで飲むのが好き、などこれはもう好みですね。
こだわっているコーヒー屋さんでは、豆の焙煎日を記載したりしているところもあります。ラテアートをするとしたら、表面に泡があるとミルクの流れに影響があり難易度アップ、オーツよりもミルク(無調整)のほうが描きやすく、ソイだと分離しやすくてラテアートができないのが難点です。」

Q.コーヒーに対しての想いとは?

﨑さん:「コーヒーが飲めない人でも、飲みやすいように甘い感じにブレンドして「ちょっと飲んでみようかな」とか「ラテアート見てみたいから飲んでみよう」という人を増やしていきたいと思っています。
苦手な人が飲めるようになったら市場が広がるし、コーヒー業界が盛り上がっていけばいいなと。
コーヒーショップはここ最近増えたのも素直にうれしいですね。特にコロナ禍、家でコーヒーを飲む人が増えて、焙煎は2倍以上売れているそうです。気軽にテイクアウトしたり、家でゆったりコーヒーを淹れる時間ができて、いい流れです!そもそもコーヒーは嗜好品なので、はっきり言って、飲まなくても死なないですよね。(笑)
それをいかに飲みたくするか、ということを考えなければいけません。
それには”コーヒーと、働く人の魅力”を味方にするしかありません。結局は人とのつながりが大事になってきます。
コーヒーを飲むだけなら機械で十分、コンビニのコーヒーのほうがいい豆を使っている場合もあります。
僕のお店では、コーヒーはもちろん、人や空間の豊かさで過ごす時間というもので勝負しています。だから僕の考える成功への近道は、やりたいことがあったらチャレンジしてみる!そしてできたら、満足を自信につなげられるようにプロセスを理解しておくことが、失敗しても乗り越えられるカギになりますよね。」

尾﨑さんは、物腰がとてもやわらかく、やさしい雰囲気をお持ちの方なのですが、お話しを伺うと熱い想いが伝わってきました。やはり、努力している方の言葉の重みは違います!

続いて、尾﨑さんのマイルールについても伺ってみました。
お楽しみに!

【プロフィール】

株式会社スウェル・シー 代表取締役
尾﨑数磨 さん

ホテルマンとして勤務、その後バリスタに転向。訪れたコーヒーショップでラテアートに出会い取り組み始め、2016年のラテアート世界大会で準優勝の成績をおさめる。
名古屋のTHE CUPSなど様々な店舗の立ち上げを行い、カフェのディレクションも数多くこなす。現在は京都COFFEE BASEのTechnical Directorも兼任。

【SHOP DATA】
SWELL COFFEE ROASTERS
(スウェル コーヒー ロースターズ)
住所:東京都目黒区上目黒1-11-1 OAK BLDGⅡ
公式サイト: https://swell-c.com/


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PROFILE
merrily編集部 エディター&ライター / 森岡 陽子
merrily編集部 エディター&ライター / 森岡 陽子
1974年生まれ。2人の大学生の子どもを持つ母。不器用ながら「努力と根性」で女性誌 のライターを10年以上経験、これからは軽やかにライフスタイルのお役立ち情報を発信で きたらと思っています! 「桃子俱楽部」オンラインサロンで、スキンケアやメイクを勉 強中、好きなことにはトコトン突き進むタイプ。
著者のウェブサイト:https://www.instagram.com/__yokom_